【2018年版】広告システムエンジニアは絶対におもしろいと思う理由

これは Supership株式会社 Advent Calendar 201825日目の記事です。

Supership株式会社 CTO @yamaz です。

広告システムエンジニアは絶対におもしろいと思う理由

という記事をちょうど10年前に書きました。

 

今回はあれから10年経って現在広告システムエンジニアをとりまく環境ははどうなっているかについて書きたいと思います。

 

TL;DR (3行で)

  1. 10年前と変わらず技術的、学術的、ビジネス的にエキサイティングな領域だよ。
  2. 広告テクノロジーをプレイヤーが切磋琢磨し続けてきた結果、大規模配信・集計技術もさることながら大規模データ分析や運用技術の領域も大事になってきたよ。
  3. まだまだ課題満載な業界だけど、デジタルマーケティングに未来を感じてる人はぜひ広告業界へ応募を!

10年前と変わらず技術的、学術的、ビジネス的にエキサイティングな領域である

 

10年前はユーザのリクエストに対して手元のDBにある広告返すだけのシステムだったが、現在はプログラマティックバイイングという仕組みでリアルタイム(100msec程度)に広告在庫をオークション形式で買い付けが完了するようになった。またアクセス数も10年前は弊社が配信する配信量はせいぜい月間数億アクセス程度だったが現在は月間数千億〜くらいの規模になっている。

 

実際のところこの規模のアクセスをさばくのはクラウド全盛の現代においてはそこまで大した話ではない。だけどビジネス的にとても大事な「より安く」という条件が加わるととたんに難しくなる。「早く、安く、うまい」を成立させるためにはOS/ネットワーク/アルゴリズム/各種実装技術の詳細などのコンピュータサイエンスでの知識にとどまらず、機械学習的なアプローチも当然組み入れることになるので、大学で学んだであろうほぼすべての知識を要求される。

 

このあたりは10年前と変わらず引き続き面白い領域だ。

 

データ分析と機械学習の台頭

 

広告テクノロジーを持つプレイヤーがこの10年切磋琢磨した結果、大規模配信と集計技術はかなりコモディティ化してきた。これをもって「アドテクは死んだ」という人もいる。だけど配信・集計技術はあくまでもマーケティングを達成するための手段であって目的ではない。これでやっとマーケターの人たちにデジタルマーケティングをしてもらうための下地が固まってきたと考えるのが正解だと思う。

 

その結果としてデータ分析というジャンルが出てきた。かつては分析というとせいぜいクリックデータなどの時系列分析程度だったが、機械学習による推定技術の発達によりユーザの属性分析などの高度な分析が可能となってきた。

 

このあたりいわゆる機械学習データマイニングの分野だが、この分野はしかるべき量の生データがないとどうにもならないけど、その点データはあきれるほどあり、退屈することはないと思う。

 

広告運用技術の発達

 

10年前広告システムと言えばざっくりヤフーとGoogleとその他ちょっとしかなかった。だけど現在は

Google

ヤフー

Facebook

Twitter

Line

Gunosy

Criteo

その他DSPなどなど

少し大型のデジタル広告をしようと思うと20くらいのシステムを使う必要がある。その結果として実際の入力オペレーションやレポーティングが非常に煩雑になってきた。

 

我々はマーケテックと呼んでいるが、このような煩雑な広告オペレーションを楽にするための技術投入は上記のアドテクなどに比べてほぼ行われてないと言ってももよく、

まさにこれからでやりがいのある分野だと思う。

終わりに

以上広告システムがいかにおもしろいかを述べてみた。たいていの人は広告システムというものをまじめに考えたことがないと思うので、興味を持った人は候補の中に入れてみてください。興味がある方は「話を聞きたい」というようなレベルでも構わないので、

https://supership.jp/recruit/

https://www.wantedly.com/companies/Supership

あたりから応募をしてほしいです。

 

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検索技術も広告技術と並んで技術的、学術的、ビジネス的に面白い分野なので、興味ある方は合わせてどうぞ。

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【おまけ】デジタルマーケティング業界の残念な部分と、だけど未来は絶対にあるという話

 

ここまでかっこいいことばかり書いてきたけど、私がデジタルマーケティング業界にいる中で少し残念に思っていることを書きたい。

 

それは転職ドラフトというサービスでレジュメを書く際に「避けたい分野」として他ジャンルに混ざって「広告」がそこそこ選ばれてる現実があるということだ。

これはデジタルマーケティング20年ほど関わっている私にとってかなり寂しいことで、これは避けようとしている応募者の方に問題があるわけではなく、業界側に原因があるという理解です。

 

転職ドラフトで避けたい分野としてわざわざ「広告」を選んでる人はおそらく今もしくは過去に広告業界に在籍した人の可能性が高いと思っています。

 

おそらくはデジタルマーケティングの業界に希望を持って飛び込んできたものの、

  1. アクセスが実際殆ど無い
  2. システムを触らせてもらえない
  3. 触らせてもらってもデジタルマーケティングとは言えない雑務ばかり
  4. そもそも技術者がいない
  5. 儲けのために非倫理的な業務をさせられる

など色んな理由で期待を裏切られて幻滅したとかそんな理由だと思う。

 

だけどそれはその在籍した会社の問題であって、全部の会社がそんな会社ばかりではなく、うまくやっている会社は存在するというのは知ってほしいと思います。

 

オンラインメディアは「OneToOneターゲティング」を「リアルタイムレスポンス」で可能とする唯一のメディアであり、その収益を支えるデジタルマーケティング領域は今後伸びる一方で下火になることはほぼありえません。

 

ですので、もしあなたがデジタルマーケティング業界の未来に希望を持っているのなら、他の業界に行く前にうまくやっている会社を受けてほしいと切に思います。また弊社はその一社であると断言します。

 

せっかく希望をもってこの業界に入ってきたのに、うまくやってるところを知ることなく去ってしまうのは本当にもったいないことなのだから。

 

(おしまい)