RTB用のADサーバこそ最強である必要がある件

明日はアドテック東京というデジタルマーケティングのカンファレンスが行われる。


最近広告配信周りでRTB(RealTimeBidding)というシステムがはやりつつあるが、RTB用のADサーバこそ最強である必要があるということを述べてみたいと思う。



RTBの仕組みというのは簡単に言うと下記のような感じになる。


1. 広告サーバ(SSP)に問い合わせがあった場合、バックに接続されたRTBの広告サーバ(以下RTBサーバ)に対して問い合わせをオークション形式で行う



2. RTBサーバは来たリクエストに対していくらで購入ができるかを返し、SSPは最も高い単価をつけた広告をユーザに返し、表示する(CPMというのは広告単価だと思えばいい)




上記の処理を1つの広告表示のたびに行うので、Real Time Bidding(RTB)というわけだ。RTBのエコシステムにおいては自分の都合のよいユーザのアクセスの時にだけ高い単価をつけて在庫を買い付ければよいため、結果として

  1. 広告主にとっては在庫を安く仕入れることができる
  2. メディア側は高いインプレッション単価で在庫が売れる

ということが可能になり、理想的には広告主・メディアともに都合よいシステムだといわれている。


ではこの実装について考えてみよう。オークションを開催する広告サーバの実装は比較的簡単だ。単に広告リクエストを非同期に各RTBサーバに投げ、戻ってきたリクエストをオークションして結果を返せばよい。


ではRTBサーバ側の実装はどうだろう?単純に広告サーバからリクエストが来たらその条件にあった最適な広告を妥当な価格で返せばいいので、こちらも一見簡単そうに見える。


それは本当だろうか?


RTBサーバは広告サーバに接続されるRTBの事業者が増えるほど広告を出せるチャンスが少なくなっていくという特徴がある。つまりこういうことだ。


RTB業者が3社しかいない場合、1業者が勝つ確率は単純計算で1/3になる。




RTBが9社に増えた場合、1業者が勝つ確率は1/9になる。



例えばオークションの開催側のアクセスが月間100億impあるようなケースでは下記のようなことになる。

  1. 全オークションに参加しようと思うと月間100億impを捌く能力の持った広告サーバが必要である
  2. RTB業者の数が増えると勝つ確率が単純に下がっていく。
  3. 例えば上記の例のようにRTB業者が3社から9社に増えるとサーバコストは変わらないのに売上が1/3になる。


RTBのサーバはオーディエンスターゲティングなど1ユーザごとのターゲティングでもって単価を上げるという手法をとるケースが多いため、高度な機能を持たせる必要があるが、それに加えてアクセス自体も相当に安く捌けるシステムでないと接続業者の増加に伴って割に合わなくなる。


よってRTB用の広告サーバは今までにもまして強力なサーバソフトウェアである必要があるというのが今回の主張だ。


このあたりのことを半年ほど前にRTBをやってらっしゃる業者さんに聞いてみたところ、「実際RTBに参入するのは4,5社くらいだから大丈夫じゃないですか?」という話だった。しかし実際はもうすでにRTBに参入している業者は5社以上になっていて今後も増加傾向なので、ほんとに大変な時代に突入したなと思う。


(おしまい)